政権交代の力

 「政権交代論」を読了。民主党が政権を奪取する前に発売された(今年3月)本だが、今まさに一読しておく必要がある本だ。

 当面は財政赤字が増えても、ともかく貧困を救済し、人々に仕事を与えることが必要である。しかし、中期的には、医療、介護、教育などの公共サービスを支えていくための安定財源を確保することがどうしても必要となる。無駄を省くことには誰しも異論はないが、冗費節減で出てくる財源と、社会保障に必要な財源とでは、桁が違う。税金と社会保険料に関する公平な負担をどのように行うかという議論をいつまでも避けるわけにはいかない。この点でも、民主党は将来構想を示す必要がある。

 

政権交代論 (岩波新書)

政権交代論 (岩波新書)


 今年国内で最大の出来事は、自民党から民主党へ政権が交代したことだと思う。

 長年の間、政権与党だった自民党は、自らの巨大な組織内部で派閥を作り、派閥争いの末、勝ち負けが決まることで、与党内部で実質的な政権交代を行ってきた。

 その仕組みが機能しなくなった自民党に対し、民主党は「生活第一」をスローガンに、とうとう政権を奪取した。

 「予算仕分け」や「高速道路無料化」、「子ども手当の創設」などが、連日、マスコミ報道され話題となってきた。財源やその方法に疑問を唱える声もあるが、ダイナミックに政治が変わるかもしれないという期待を抱かせてくれる。

 たぶん、年明けには首相近辺のお金のだらしなさとか、小沢一郎のダークサイドとか、民主党内部の発言のブレなどで、民主党執行部の求心力は低下していくんだろうけれど、数年おきに政権交代により政治家が入れ替わるのも悪くないと感じる。