レアメタルを知る
「レアメタル超入門」を読了。
- 作者: 中村繁夫
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/05/27
- メディア: 新書
- 購入: 5人 クリック: 59回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
レアメタルとは、その名の通りレアなメタルの総称だ。
メタル市場の95%は鉄、残りの5%の非鉄のうち大半を銅、鉛、亜鉛などが占める。それに当てはまらないその他のメタルがレアメタルといわれる。
量的には非常に少ないものの、多種のレアメタルが存在する。その数、47~57品目。チタン、マグネシウムなど、比較的メジャーなものから、タンタル、ネオジムなど聞き慣れないレアメタルもある。
しかし、これらのレアメタルの世界最大の消費国は日本だという。携帯電話やパソコン、デジカメといった電気製品やプリウスなどのハイブリッド車に、レアメタルは欠かせない存在になっているのだ。
レアメタルは供給量が少ないこともあり市場は非常に不安定であり、しかも最近は中国がアフリカのレアメタルを丸ごと買いおさえるなど、各国において、先を見通した熾烈な資源確保の争いが起こっているという。
いつものごとく、日本ではこれらの資源のほとんどを輸入に頼っている状態であり、いかに世界中の関係原産国にアプローチして、レアメタルの安定供給体制を構築するかが、大きな課題となっているのだ。
日本の強みは省エネ技術、エコリサイクル技術、技術開発力に集約される。日本が資源戦争に生き残れるか否かは、こういった日本の優位性をいかに戦略的に、効率よく発揮するかということに決定付けられる。
これらの技術を輸出する一方で、原産国から資源を輸入するやり方が、日本の生き残る道だといえる。特にレアメタルのリサイクル技術は、まだまだ改善の余地があるようだ。リサイクル技術が発達すれば、海外から日本へのレアメタルの輸入量の緩和にも役立つだろう。
本書を買ってからすぐに2時間ほどで読み終えたが、レアメタル分野の第一人者である著者の体験談はとにかく面白かった。また、世界のレアメタル市場価格を決定付けるほどの発言力を持つトレーダーがいるということも初めて知った。狭い世界なんだねえ。
著者には今後も日本のレアメタル業界のために頑張って欲しいと思うところなのでした。