「空気」と「世間」の違いとは
「「空気」と「世間」」を読んだ。
- 作者: 鴻上尚史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/17
- メディア: 新書
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この本は、いじめに悩む中学生にも届いてほしいと思い書いた本とのことであるが、口語体で語りかけるような文章は、著者の優しさが感じられ、内容的に僕でも十分楽しめた。
著者は、自分に関係のある世界のことを「世間」、自分に関係ない世界のことを「社会」と定義し、さらに「空気」とは、「世間」の何かが欠けていたり、「共通の時間意識」が不安定になっていることにより、「世間」が流動化したものであると述べる。
「空気」は大物司会者がいないテレビ番組のようなもので、その場の影響力は強いが、方向性が定まらず不安定なものである。「空気」は、ときとして、理由もなく人を傷つけたり、自分に牙を剥くのだ。
この不安定な「空気」に流されないためにも、複数の共同体や社会と緩やかなつながりを持つことが必要であると著者は言う。
それが「家庭」なのか「宗教」なのか「会社」なのか「趣味」なのか、また「その他」なのかは、人それぞれなのだろうが、複数の世界(特に仕事以外)に属することって、本当に大切なことだと思う。
本書は、引用が多用される章があるなど、ちょっと読みにくい部分もあるが、「空気」という毎日関わらざるを得ない、得体の知れないものを知るには、ぜひ読んでみてもらいたい1冊だと思う。